令和7(2025)年度の科学研究費助成事業(科研費)の変更点等について発表
3月18日に令和7(2025)年度の科学研究費助成事業(科研費)の変更点等について発表があった。それによると、令和7年度には、5つの制度変更等が予定されている。
1.公募スケジュールについて
令和7(2025)年度に公募される令和8(2026)年度科研費の今後の公募スケジュール(あくまで予定)について発表された。それによる基盤研究(A, B, C)、若手研究、挑戦的研究(開拓・萌芽)の公募開始は令和7年7月14日(月曜日)、公募締め切りが英和7年9月17日(水曜日)である。その他の奨励研究や学術変革領域研究(A)の(公募研究)も同じ日程である。
2.研究設備共用の促進について
研究費の効率的な使用や設備の共用を促進するため、令和7(2025)年度から、科研費の直接経費を使用して購入した研究設備・機器のうち、使用ルールで定めた条件を満たすものについて、研究機関の内外へ共用することが求められる。またそのときに、該当する研究設備や機器を検索システム等に登録することによって、研究機関内外に対して可視化する必要がある。
どの研究機関でも研究予算が限られている現状では、これはとても良い制度改革だと思う。
3. 分担金の直接送金について
研究分担者の分担金については、従来は研究代表者の所属機関から研究分担者に送金されていたが、令和7(2025)年度以降は、日本学術振興会から研究分担者の所属機関に直接送金が行なわれることになった。これにより、分担金の送金時期が早くなり、研究活動への早期着手が可能となる。
4.研究データの管理・利活用について
令和6(2024)年度から、原則全ての研究種目において研究データマネジメントプラン(DMP)の作成が求められている。そして、令和7(2025)年度に提出される実施状況報告書や実績報告書からは、DMPに基づいて生み出され、公開された研究データの情報(メタデータ等)の報告が求められる。提出されたメタデータ情報は、科学研究費助成事業データベース(KAKEN)および CiNii Research に連携され、登録・公開される。
研究機関では、管理・対象データの範囲、研究データの公開・共有の基準等を定めたデータポリシーの策定など、研究データマネジメントを実施するための環境や支援体制等の整備が必要となる。
5.学術論文等のオープンアクセス化の推進について
令和7(2025)年度から新たに公募を行う科研費の助成を受けて執筆した査読付き学術論文および根拠データは、学術雑誌への掲載後、即時に「機関リポジトリ等の情報基盤」への掲載が義務づけられる。つまり学術論文やデータのオープンアクセス化である。
そのオープンアクセスの実施状況を把握するために、実績報告等に記載する研究成果情報の項目が追加・変更される予定である。
これまでの項目に加え、即時オープンアクセスの対象にあたるかどうか、即時オープンアクセスの実施の有無、即時オープンアクセスの実施ができない場合はその困難な理由、そして学術論文や根拠データを掲載した「機関リポジトリ等の情報基盤」のランディングページのURL等の識別子について記入することなどが求められる。
この5つの変更点の中で、令和8年度(令和7年度に公募されるもの)の科研費採択を目指すものにとって重要なのは「1.公募スケジュールについて」である。2~5は採択されてからのものなので、今の段階では情報として知っておくだけでよい。